大分夜も遅くなった頃、見馴れない一人の貴公子が店に入ってきた。聞いたこともない会社のこれまた聞いたこともない肩書きを持つ。得意万面で初恋の話をしだした。

ご高説をありがとう。

大分夜も遅くなった頃、見馴れない一人の未成年が店に入ってきた。この界隈じゃ恋人にしたくない未成年ベストテンに入るらしい。Jessicazoomeはライムを織り交ぜてリズミカルにこう語った。

この未成年からこの話が出てくるとは思わなかった。

大分夜も遅くなった頃、見馴れない一人のダンディが店に入ってきた。今夜は最悪の気分だ。何を思ったのか女性の話しをはじめた。

人間もここまで落ちぶれると大したものである。

大分夜も遅くなった頃、見馴れない一人の男の子が店に入ってきた。長生きするとこういう客も珍しくない。RichardCedは私を見つけると嬉しそうに近づいてきた。

私はその場を逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。

大分夜も遅くなった頃、またDichaelLixがやってきた。随分とご機嫌な様子だ。DichaelLixは私を見つけると嬉しそうに近づいてきた。

・・泣きたいだけ泣くがいい。今宵の酒は悲しい酒だ。

大分夜も遅くなった頃、見馴れない一人のオヤジが店に入ってきた。SherryNowという名前は覚えるのに一苦労だ。得意万面で初恋の話をしだした。

未だに過去にすがって生きている。

大分夜も遅くなった頃、見馴れない一人の若造が店に入ってきた。着やせはするが、体には自信があるらしい。無職という職業が気に入っているらしくこんな話をはじめた。

なかなか話し上手な若造だ。

大分夜も遅くなった頃、見馴れない一人の紳士が店に入ってきた。この前サツにつかまったと聞いていたが違う人物だったらしい。Douglasgafはカウンターの上にあったニューヨークタイムズを明読し始めた。

子供達が泣いてるぞ・・・。

大分夜も遅くなった頃、見馴れない一人の坊主が店に入ってきた。神経に血が通っていないそういう部類の人間だ。額、首筋、わきの下を一通りハンカチで拭くと、唾を飛ばしながらこう言った。

この坊主は金の話しかしてこない。

大分夜も遅くなった頃、前に見たことがあるオヤジが入ってきた。無職仲間の間じゃそうとうの実力者だそうだ。自分の人生が今までどんなに不幸だったかを延々と話し始めた。

オヤジのこの言葉がのちのち何人もの人々を苦しめることになろうとは、本人でさえも気づいていなかったのだろう。