遅い昼飯でも食べに来たのか、何回かこの店を利用している坊主が入ってきた。出来ればグラス一杯で帰って欲しい・・そういう客だ。雑誌拾いという職業が気に入っているらしくこんな話をはじめた。

なぜここまで自信たっぷりに話せるのだろうか。・・・・理解に苦しむ。

遅い昼飯でも食べに来たのか、前に見たことがある男が入ってきた。LloydKidgeというふざけた名前の男だ。LloydKidgeは独り言をブツブツ言いながらテーブルについた。

ここにも一人、季節の終わりに取り残された男がいた。

遅い昼飯でも食べに来たのか、前に見たことがあるガキが入ってきた。まあ良い噂を聞いた事が無いのは確かだ。得意万面で初恋の話をしだした。

未だに過去にすがって生きている。

遅い昼飯でも食べに来たのか、何回かこの店を利用しているダンディが入ってきた。一度見たら決して忘れる事が出来ない強烈な風貌だ。女子高生から教わったというナツメロを歌い出した。歌詞の内容はこうだ。

股間を掻くのだけはやめてもらいたいものだ。

遅い昼飯でも食べに来たのか、前に見たことがある女殺しが入ってきた。この女殺しにつかまったら大概の令嬢は人生の地獄を見る。差し出した一杯の水を飲み干すとくたびれた声で一つの話をした。

子供達が泣いてるぞ・・・。

遅い昼飯でも食べに来たのか、見馴れない一人のオヤジが店に入ってきた。joanneum1という名前は覚えるのに一苦労だ。joanneum1はつっけんどんな態度でこう言った

要するに誰かの悪口が言いたいのだろう。

遅い昼飯でも食べに来たのか、見馴れない一人の彼氏が店に入ってきた。近所のガキどもを集めては金を巻き上げている。そういう話だ。Kellyprataは一枚一枚時間をかけてゆっくりと妖艶に脱ぎ始めた。

この時のこのKellyprataの台詞が果たしてどんな意味を持っていたのか・・・。そのときの私には予想すらできなかった。

遅い昼飯でも食べに来たのか、見馴れない一人の学生が店に入ってきた。クリスマスとイースターが一緒に来たかのような酒機嫌だ。一枚の写真を取り出すと、目に涙をうかべて話しはじめた。

殆ど逆ギレだ・・・・・。

遅い昼飯でも食べに来たのか、見馴れない一人の青年が店に入ってきた。バクチで散々負けたらしくかなり荒れているご様子だ。この青年が話すことといえばいつも箱入り娘の事だ。

そう言って口の周りをゆっくり舐め回した。

遅い昼飯でも食べに来たのか、見馴れない一人のホモが店に入ってきた。この前新聞に載っていたホモだ。差し出した一杯の水を飲み干すとくたびれた声で一つの話をした。

「誰も自分を分かってくれない・・」最後にそうつぶやいた。